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300年先の未来を
想像できますか?
気候が変動し、地球上の状況が急激に変化していると言われる昨今。
ある人々は一生懸命に気候変動の幅を抑えようと技術を駆使し、
人々の意識変化を訴えています。
そのアプローチもひとつ。
一方で別なアプローチとして、
住める場所で暮らしを営む
というのもまたひとつのアプローチの仕方ではないでしょうか。
人類が歴史上長い時間をかけて、様々な土地に適応してきたように。
もしもあなたがサハラに住むことになったとしたら?
絶望を感じるでしょうか。
それとも、探求者としてサハラで生きる道を模索し始めるでしょうか。
水はどうやって得られるのか。
毎日50℃にも迫る真夏をどう凌ぐのか。
寒い冬の夜をどう耐えるのか。
そもそも食べ物をどう得たら良いのか。
その答えがエコファーム・サハラには詰まっています。
西暦が始まるより前から、アフリカ大陸の北側の広範囲に住んでいた
「ベルベル」と呼ばれる人々。
彼らの暮らしには、長い歴史のなかで伝え継がれた叡智がまだ生きています。
雨の少ない乾燥した場所に住んだ彼らは、灌漑を用いた農業と牧畜と手仕事を掛け合わせて
素朴な暮らしを営んできました。
技術が発達し、モノが豊かになり、人とモノが大量に行き交うようになった現代においても、
人間が生きていくのに最低限必要なことは変わっていません。
人は、水を飲み、食べ物を食べることで日々生きることができます。
機械を使って地下深くまで掘削できることで得られるようになった良質な地下水。
地下水を汲み上げるための動力源は、ほぼ一年中燦々と降り注ぐ太陽光を用いた太陽光発電。
得られた水と太陽は作物に形を替え、人には食べ物を、動物には牧草をもたらしてくれます。
動物の排泄物は堆肥となり、土の養分となって植物に還元されます。
地球の資源を活用したこの小さな循環が、
エコファーム・サハラのなかに存在します。
この土地で生産して、消費する。
これだけでも素晴らしいことです。
しかしエコファームはこの循環を、敷地を超えたところまで実現していきたいと考えています。
遠い町までの買い物が困難な人が野菜を買いに来られる場所に
エコファームの出荷作業を手伝ってくれた方へお給料を渡せるように
食べるのに苦労している隣人に対して、いくばくかの支えができるように
集落に暮らす子どもたちが好奇心を育む支えになれるように
ベルベルの人たちの生き方の根っこの部分に染み込んでいる
“分かち合う”
という価値観を、
ファームをとおして実践していきたいのです。
いま、エコファーム・サハラには200本あまりのナツメヤシの木が生きています。
燃えてしまいそうなほど暑い夏を凌ぎ、サハラを走り抜ける爆風に耐えながら
水を吸って一生懸命生きようとしています。
2023年の冬が終わる頃、そのうちのいくつかのナツメヤシの木が
花をつけそうな兆しが確認できています。
花が咲いて、受粉すると、デーツとして知られる甘くて栄養豊富な実を付けます。
これらの木々が背丈を増して、実を付けるようになった頃には
エコファーム・サハラのなかは穏やかになるでしょう。
なぜなら、成長した木々が木陰を作って強すぎる陽の光を遮り、
吹き荒れる風や風にのってやってくる砂が
ファームのなかに吹き込むのを守ってくれるからです。
そうしたら、次は野菜の畑を作る段階です。
小さくてか弱い野菜の芽は、サハラの暑い風に晒されるとあっというまに命尽きてしまいます。
それを守ってくれるのもまた、ナツメヤシの木々の存在です。
さて、この状態になるまであと何年かかるのでしょうか。
それは誰にも分かりません。
ナツメヤシの樹の寿命は100年、長いものでは200年にも及ぶそうです。
そしてナツメヤシの木は成長とともに、根元に子どもの株を生やします。
その子株を親の木から切り離して移植することで、世代交代ができます。
つまり、いま生えているナツメヤシの木は、やがて子孫を残して死に絶えますが、
次は子どもの株が繁栄し、やがてまた子孫を残して絶えるというサイクルを繰り返すのです。
たとえば親子3世代と設定するならば、エコファーム・サハラは300年続く場所になるのです。
今から300年先の未来の姿を想像できますか?
着ているものや、持っているものが今と多少変わっているでしょう。
もしかしたら交通手段は劇的に今と違うのかもしれません。
再びなんらかのウィルスが蔓延し、
人類は存続の危機を何度かくぐり抜けた後かもしれません。
それでも人は、
水を飲み、食べ物を食べて生きていく部分だけは普遍です。
その時代に生きている人々にとってエコファーム・サハラが
そこまでの人類が残してきた軌跡と叡智が息づく場所であり
未来に生きる彼らに、希望と勇気を与える存在であってほしいと願っています。